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川嶋哲郎 New Quartetライブ at 六本木Alfie

哀歌/AIKA 哀歌/AIKA

アーティスト:川嶋哲郎カルテット
販売元:エム アンド アイ カンパニー
発売日:2008/11/19
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[※本日記は、ただのサックスオタクのコメントでございます。長文及び、専門用語等はご容赦を。]

やっと行く事が出来ました、このカルテットのライブ。昨年末に『哀歌』を購入して以来、超ヘビーローテーションでこのCDを聴いておりました。ずっと早く行きたいと思っていたのですが、なかなかスケジュールが合いませんでした。crying

日時: 1月22日(木)

メンバー: 川嶋哲郎(ts)、田窪寛之(p)、安田幸司(b)、長谷川学(ds)

今回は今年のライブ初めでございます。1stと2nd stage共に、アルバム『哀歌』の曲を中心に演奏されていて、すっかり堪能致しました。僕にとっては久しぶりのテナーワンホーンのライブだったので、何でも吸収してやろうという気持ちで全身の毛穴全開にして拝聴致しました。ear

<1st Stage>

1.『Vega』 最初は川嶋さんのミディアムテンポのオリジナル曲からスタート。川嶋さんの
テナーの優しいトーンが会場全体を包み込むようでした。曲の途中から徐々にヒートアップ。ミディアムテンポのリズムに倍テンのビバップフレーズが炸裂。 時折繰り出すディミニッシュのサウンド。うーん、見事です・・・happy02

2.『You must believe in spring』 アルバム『哀歌』の2曲目に収録されている、Michel Legrandのアップテンポの曲。会場を一気に熱くさせました。1曲目に較べてサックスの音を一気に解放させるかの如く、音量が大きくなりましたね。 気持ちよ過ぎでした。happy01
          
3.『哀歌』 今回新しくリリースされたアルバムのハイライトの一つである、川嶋さんの曲の演奏です。ピアノの田窪さんのイントロから始まるのですが、CDの田中信正さんのイントロと違って、フリージャズかECM系かと思える程のテンションコードの入れ方で新鮮味がありました。音量は2曲目のままなのですが、とてもよく歌い上げております。note

4.『Maikai』 作品中唯一のラテンタッチのオリジナルナンバー。川嶋さんのパーカッシブなタンギングとフラジオが強烈!!ドラムスの長谷川さんも、Clerrance Penn思わせるようなメロディアスなドラミングでした。エンディングは「この人、どこまで高いフラジオを出すんだろう!?」という感じでした。up

5.『Seven』 1st Stageの最後とこの後の2nd Stageの最後にも演奏しました。このバンドのテーマにしたんでしょうね。アルバム『True Eyes』に収録の曲でした。In tempoでのテーマ→それぞれのソロ→テーマと曲は進行するのですが、 最後のテーマは段々のスピードを加速させ繰り返し、最後は超高速テーマになりました。 一糸乱れぬ演奏に驚愕!fuji

<2nd Stage>

6.『Runway』 2nd Stageは、ややアップテンポのミディアムナンバーからスタート。
途中、川嶋さんと長谷川さんだけのopenソロになるのですが、二人の迫力があるインタープレイに釘付けでした・・・ eye

7.『暗い日曜日(Sombre Dimanche)』 実は本日一番聴きたい曲でした。イントロを聴いた途端、鳥肌が立ってしまいましたね。かつてはハンガリーで発表された曲だそうで、と
ても東欧風な美しいメロディが特徴の曲です。発表当時は第二次世界大戦に欧州中が巻き込まれそうな時期だったそうで、この曲を聴くと自殺をする人が増えるとの逸話がある程の激情的な曲です。wave

実はアルバムの中のこの曲で、2分35秒からに川嶋さんの超鳥肌物のビバップフレーズがあるのですが、そのフレーズに似たスリリングフレーズを連発。川嶋さんの長尺ソロに大満足。お腹いっぱい!!(アルバムでのソロは短かったので・・・)
          
8.『Easy Living』 前の曲とは一変。Sonny Rollinsによるスタンダードナンバー。前の曲での激情的な歌い方とは別に軽やかに歌い上げます。曲によって、歌い上げ方を変えられるという所はさすがですね。ピアノの田窪さんのソロでブルージーなフレーズも飛び出し、とてもリラックスできる演奏でした。wine

9.『Maelstorm』 2nd Stageの最後は、超高速テーマ&ピアノとのユニゾンが特徴的なこの曲。アルバムを聴いててもそうだったのですが、サックスとリズムセクションのスピードがせめぎあうとても緊張感がある曲です。リズムセクションをぶっちぎって、川嶋さんが若干走り気味にリズムを紡ぎだすのですが、走りそうで走りきらないところでリズムをキープし、リズムセクションをグイグイ前に引っ張って行きます。bullettrain  
             

<アンコール>

10.『My one and only love』 アンコールはスタンダードのバラードナンバー。前の曲で最高潮に熱くなったステージを一気にクールダウンさせます。サブトーンと男気あるビブラートを利かせたアドリブが素晴らしい。おかわり何杯でもいけるという感じでした。最後は渋過ぎるサブトーンで終わるのですが、最後の数秒だけ、少量の音量でハーモニクスを利かせた技を見せるなど、茶目っ気もあった演奏でした。

…と、川嶋さんのプレイばかりに評が集中してしまいましたね。Stage全体を通し
て聴くと、やはり川嶋さんはビバッパーだなぁとつくづく思いました。有り余る程のビバップフレーズの応酬。どこから吹いても、川嶋さんならではのビバップを感じさせるソロ。wave

「音の粒」がハッキリと聞こえる、音使いとタンギング。それと、ほとんどシングルトーンとサブトーン、フラジオだけで、グロウルトーンとか吹きませんでしたね。それだけ奇をてらわない、自信を持った直球勝負の音という感じで気持ち良かったです。baseball

あと、技術的な事よりも特徴的だったのが、テーマをとても深く歌い上げている
所。全くいい加減に吹いてませんね。テーマを簡単には崩さず、テーマを大きく発展させたソロが印象的です。面白い事に他の若いメンバーの方々に、この川嶋イズムがすっかり受け継がれていて、安田さんも田窪さんもソロに川嶋さんの歌い上げ方の影響が聴いて取れました。

ピアノの田窪さんは今回初めて聴きました。彼はアルバムの田中信正さんのよう
なパワープレイ派ではなく、『哀歌』や『暗い日曜日』などの曲で激しく弾かれなかったので、正直少し残念だったんですが、テンションの使い方など、とても理知的なプレイが印象的でございました。eyeglass

超絶技巧系のサックス奏者のライブに行くと、そのあまりにも凄いプレイで、次の日以降、練習する気が減退してしまうのですが、川嶋さんの場合、彼も技巧系なのにも関わらず、「練習しなければ!」というポジティブな気になってきます。川嶋さんの演奏はただの演奏技術自慢に終わってなく、音楽を美しく深く演奏しているからなんでしょうね。notes

最後に、長いジャズリスナー歴の中で、川嶋さんのリーダーのライブって、実は初めてだったんですよね。今まで、サイドで参加しているライブは何度も観た事があったのですが。彼の肉声を聴いたのは実はこの日初めてでした。あんなに男気あるプレイなのに、意外と声がお高い。少しビックリしました。メンバーは川嶋さんが40代の他、20代・30代のプレイヤーで割とイケメン揃い。どーりで今日のライブは女性客が多いわけだ。

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コメント

こんにちは!!!同じライブで遭遇しました、うららです。
記事アップを楽しみにしていましたよ。

さすがです!こんだけいろんなことを分かってライブを聴けるように
一日も早くなりたいです。
ディミニッシュがどうとか、テンションがどうとか。
聴いて、その音とわかるのが、ほんと凄いですねー。

で、川嶋さん。
この方は、「珍しい音」を吹いても、きれいですね。
ほんとに、そう思います。「ホーミー奏法(と自分が勝手に命名(^^;))」でフルートを吹きながら声を出されたり、いろいろ珍しい(^^;)演奏があるのですが。

「練習したい気になる」って、わかります。
体温が伝わってくるような、そんな音と演奏ですものね。

長文ごめんなさい。ではでは。(^^)/

投稿: うらら | 2009年1月24日 (土) 15時08分

うららさん、ようこそです~!happy01

いやいや、ディミニッシュやらを使うにはまだまだ未熟なレベルではあるのですがね…sweat02

フルートに声を入れながら吹くのは、ジャズの人は結構多いですね。知ってる中だと、例えばDave Valentineなんて人は物凄く唄っちゃってますね。何かの音源かライブ映像で観た事があります。その時はラテンを吹いてたのですが、エキサイトし過ぎて声が出ちゃったって感じでしたね。up

また、川嶋さんのライブに行きたいですね。次回はHot Houseでやるライブに行きたいです…happy02

投稿: 旧ケン・ザウ | 2009年1月25日 (日) 00時34分

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